雅楽には1200年以上の歴史があります。アジア大陸やその周辺各地で生まれ育てられた楽舞が,およそ五世紀頃より順次日本に伝えられ、日本人が培ってきた音楽と融合し、平安時代に完成したものです。雅楽のジャンルは、その形態から管絃(器楽演奏)、謡物(古代歌謡)、舞楽(舞踏音楽)の三種類があります。
◆管絃とは ・管絃は、雅楽の最も代表的な演奏形態。 ・クラシック等のオーケストラとの比較 オーケストラでは、弦楽器が主旋律を演奏するのが一般的。 雅楽では、管楽器が主旋律を奏で、絃楽器がリズム楽器となる。
◆演奏形態 ・通常の構成は16名。 ・管楽器は各3名ずつ、絃楽器は各2名ずつ、打楽器は各1名 ※規模によって、構成人員は増減する。 -管楽器(三管):笙、篳篥、龍笛 -絃楽器(両絃):筝、琵琶 -打楽器(三鼓):羯鼓、太鼓、鉦鼓
◆謡物(うたいもの)とは ・雅楽では声楽を伴う曲種の総称。 ・宮中祭祀に使用されるものや、民間に流布していた歌が取り入れられたもの、漢詩を歌うものなどがある。 ・具体的には以下の通りで大小合わせると数十曲にも及ぶ -楽器を伴奏として歌うもの:御神楽、催馬楽、朗詠 -舞を伴って歌うもの:国風歌舞(東遊、久米舞等)、人長舞
◆舞楽とは
・雅楽の楽器の伴奏によって舞を舞うもの。
・平安時代に、各地の楽舞が、左方と右方の二種類に分類整理された。
-左方の舞楽 ・主にインド、中国、西域などより伝来したもの。 ・「唐楽」と呼ばれ、三種類の管楽器と三種類の打楽器で演奏される。 ・舞人は赤色系統の装束を着用。
-右方の舞楽 ・主に朝鮮などの中国大陸の北東方面から伝来したもの。 ・「高麗楽」と呼ばれ、二種類の管楽器と三種類の打楽器で演奏。 ・舞人は主に緑色系統の装束を着用。
右方舞楽の代表曲 納曽利
左方舞楽の代表曲 蘭陵王